鳥の保温について


『鳥も寒い!保温すべき』『過保護すぎると発情する!』『とりあえず毛布でも巻いておく?』『温度が上がりすぎが心配』『やけどしない?』

などなど、鳥の保温について調べると情報があふれかえっています。

健康診断のところでも書きましたが、最も良い飼育方法は色々意見があります。今回書かせていただくのは当院が考え、また実際に自分自身が飼い主として実践している内容となります。一通り読んでいただき、まずは鳥の保温について考えていただけるきっかけとなれば幸いです。

・保温のためには何を準備すればいいか?

  • 保温電球

ちょっと値段は高いですが、100wのものだと病気の時も使えて便利です。(小さいものだと病気の時には2-3個必要になってしまい逆に高くついてしまうかもしれません)

 

  • サーモスタット

自動で温度を調節してくれる機械です。温度差の大きい窓際にケージがあったり、日当たりが良く1日の中で温度差が大きいお家の場合はあると便利だと思います。

ちょっと値段は高いかもしれませんが、命には変えられません。当院では過去の経験上サーモスタットの併用を強くおすすめしています。

  • 全体を覆えるカバーやアクリルケースなど

ただの布(タオルなど)だと火事が心配です。耐火性の布を使ってケージを覆えるカーテンを作ったり、アクリルケースでケージを囲って、それを布で覆うのも良いと思います。

  • プラスチックケージ(いわゆる虫かご)

これは普段は使いませんが、病気で体調が悪い時にはその中入ってもらい温度をあげる必要があるかもしれません。(30℃以上にあげないといけない事もあります)

1つあると通院の際にも使えるので、色々と便利です。100均グッズを利用して止まり木を作るとより快適な空間が作れるので、詳しくは診察の際にお聞きください。

・どれくらいの温度にすればいいの?

温度の設定はその子の仕草をみて判断をします。まず鳥が寒がっている時、暑がっている時にどんな仕草をとるか確認しておきましょう。

  • 寒がっているとき

膨羽といって、羽を膨らませて空気の層を作り体温をあげようとします。(膨羽に関してはこちらもご参考ください)

また、足を触ると冷たいです。元気な時に手に留まらせて正常な体温を確認しておきましょう。

  •  暑がっているとき

脇をあけて体温を下げようとしています。

またハァハァと呼吸が早くなったり、水をたくさん飲んだりする仕草がみられます。

 

成鳥の場合は、いずれの仕草も出ない範囲内でちょっと涼しめにしてあげると良いと思います。

あまり過保護に暖めてしまうと季節感を感じなくなり、常に発情してしまう危険性があります。

・幼鳥の時は要注意!

幼鳥が初めて迎える最初の冬は要注意です。まだまだ体力も少なく、調子を崩した時に重症化しやすいです。

成鳥とは違い、最初の冬はしっかりと保温してあげて、次の年の冬からは季節を感じてもらうためにちょっと低めの温度にすると良いと思います。

なんだか機嫌が良さそうな、まだ幼鳥のコザクラインコの空ちゃんです。写真のご協力ありがとうございました!

・保温に関するよくある質問・注意点

  • 暑すぎないかどうか?

病気で具合が悪い時は、積極的な保温が必要となります。しかし、温度をあげすぎてしまう危険性もあります。(特に日中、人がいない時間帯など)

当院では過去の経験上、サーモスタットを併用することを強くおすすめしています。

 

  • 保温電球の置き場所は?

まずケージ内には置かないで下さい。保温電球は発熱中、触っていられないくらい熱くなります。

ですが、鳥たちはなぜか平気で上に乗って温まります。そして足を火傷します。

火傷をさせないために、保温電球はケージの外に置きましょう。

 

  • 保温電球で火事は起きない?

今まで使っていて火事の経験はありませんが、ちょっと気になったので発火の機序について調べてみました。

内容を書くと長くなってしまうので結論だけにしますが、火事のリスクはあるようです。(詳しくは【低温発火】で検索)

 

可燃性のある物が近くにあると発火の可能性があるようなので

対応策としては

1、アクリルケージを使い、その外からカバーをする

2、ケージ内に保温電球を設置。その際に保温電球の上に登れないよう、上ぎりぎりに保温電球を設置する。

といった所でしょうか。

あとは保温電球のカバーの中にほこりや餌のカスなどが溜まり、そこから発火する可能性があるため定期的にカバーを外して清掃すると良いと思います。

 

  • タオルとか毛布で覆っておけば保温になりますよね?

なりません。

僕らが毛布に包まって暖かいのは、直接肌に接触しているからです。例えば、家の周りに毛布をかけたら身体は温まるでしょうか?

今回は鳥の保温についてまとめました。どれも大切なことなので、参考にしていただけたら幸いです。

細かいところは省いて書いているところもあるので、疑問点などありましたらまた診察の際にお聞きください。

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